オバマ大統領:キューバとの国交正常化交渉開始を表明・首都ハバナに米大使館
オバマ大統領:キューバとの国交正常化交渉開始を表明・首都ハバナに米大使館
アメリカのオバマ大統領は17日、 1961年以来、国交を断絶していたキューバと国交正常化交渉を始めると表明しました。ほぼ半世紀ぶりとなるアメリカの対キューバ政策の歴史的な大転換で、アメリカは今後数カ月以内にキューバの首都ハバナに大使館を設置する予定です。
17日にホワイトハウスでキューバ政策について演説したオバマ大統領は、「両国の利益を促進するのに失敗して来た時代遅れの対キューバ政策を終わらせる。」と述べた上で、「両国の関係を正常化して行く」と表明しました。
Official White House Photo by Lawrence Jackson5年の拘束の後、釈放されたアラン・グロス氏と妻
これは2009年からキューバに5年間投獄されていたアメリカ人のアラン・グロス氏(65)が人道的見地から釈放されたことを受けたものです。またこれとは別にキューバ政府は20年間近く拘束していたアメリカの情報機関員も釈放したのに対し、アメリカ政府はその見返りとして、15年間拘束していたキューバの3人の情報機関員を釈放しました。
Official White House Photo by Lawrence Jacksonアンドリュー空軍基地に到着したグロス氏
今後、オバマ政権は、ケリー国務長官にキューバ側と国交正常化交渉を開始させ、アメリカ国民のキューバへの渡航規制の緩和やキューバへの経済制裁の緩和、そして半年以内にテロ支援国家指定の見直しなどを行うほか、今後数ヶ月以内に首都ハバナにアメリカの大使館も設置する予定です。
また演説の中でオバマ大統領はキューバ側との交渉の過程でオバマ大統領とカストロ国家評議会議長両氏に書簡を送って関係改善を強く促したローマのフランシスコ法王が大きな役割を果たしたことやカナダ政府もアメリカとキューバの交渉を仲立ちしていたことを明らかにした上で、16日にはカストロ国家評議会議長と電話で1時間近く会談して今回の決断に至ったことを明らかにしました。両国の首脳が公式に会談するのは国交断絶以来、初めてのことです。
Official White House Photo by Pete Souza カストロ氏と電話会談するオバマ大統領
アメリカとキューバは1961年に国交を断絶し、1962年には当時のケネディ大統領時代には米ソがキューバをめぐって全面核戦争の危機に直面したキューバ危機も発生し、緊張が走ったこともありました。
ブッシュ前政権はキューバに対して経済制裁を強化するなど強硬路線を敷いていましたが、オバマ政権は就任直後から関係改善の糸口を探り、キューバ系アメリカ人の渡航制限やキューバの家族への送金制限を解除するなどして来ました。
今回の方針大転換の背景には、中間選挙の歴史的大敗でレームダック化しているオバマ大統領の残りの任期中の「政治的な遺産作り(レガシー)」との狙いがあるのは否定出来ません。
しかしまだ議会が、ハバナに作るアメリカ大使館の建設費用を認めなかったり、派遣する大使を承認しないなど、キューバとの国交正常化の動きを阻止する可能性もあり、オバマ大統領の思惑通りに進むかどうかは余談を許しません。
また、アメリカの人質と交換でキューバの情報機関員を釈放したことについても 「他のならずもの国家に対し、今後アメリカ人を誘拐・拘束すれば人質と交換ができるとの誤ったメッセージを送りかねない。」との強い懸念の声も上がっています。
現に、キューバから移民して来た両親を持つ共和党のマルコ・ルビオ上院議員は声明を発表し「釈放したキューバの情報機関員はアメリカ人の殺害に関与し、スパイ行為で訴追されていた。アラン・グロス氏は無条件で釈放されるべきだった」と批判しているほか、国交正常化についても「キューバはシリアやイラン、スーダンなどと同じようにテロ支援国家であり、北朝鮮などと一緒になって国連安保理決議違反の兵器の違法取引などを続けている。」と指摘し、「オバマ大統領のレガシーを作りたいとの危険な野望を出来うる限り全力で止めて行く」と反発しています。
また同じくキューバ系の民主党のメネンデス外交委員長も「今日の政策決定は見当違いでキューバ政権の性質を全く理解していない。」「アメリカ政府はキューバに対し経済的な命綱を渡しただけだ。」などと不快感を示した上で、「来年1月に新たな議会が招集されれば上院の外交委員会でこの間違った政策転換について公聴会を行うよう促すつもりだ」と表明しています。
更に、父がキューバの移民のテッドクルーズ上院議員も「オバマ政権はこれまでもロシアやイランと言った、ならずもの国家と関係を改善しようと試みたが、その結果アメリカの影響力は低下し、敵をつけあがらすだけだった。また同じ破滅的な政策をキューバで試そうとしている」「これはオバマ政権による非常に悪い決定だ」と批判しています。
Official White House Photo by Pete Souza 帰国したグロス氏と電話で話すオバマ大統領
来年1月からは上院も下院も野党共和党が多数派を握る中、オバマ大統領の決断通りにキューバとの国交正常化が進むかどうか、改めてオバマ大統領の指導力が問われることになります。
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コメント
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おはようございます(^^)
おはようございます(^^)
この話題、最近私もテレビで観ました☆
社会主義国と資本主義国との和解、とっても印象的なニュースですね。
もっとも、社会主義だとか資本主義だとかって話はすでに時代遅れなのかも知れませんが(^^;)
しかしやっぱり大きな課題も多いのですね。
今まで対立していただけに、スムーズにことが運ぶことではないようです。
なんにせよ、世界に未だある多くの垣根が、徐々に取り除かれていくことは嬉しく思います。
この国交正常化が、平和への布石となることを祈ります。