2016年の大統領選に共和党候補が続々出馬表明。フィオリーナ氏やカーソン氏、ハッカビー氏と混戦中。
2016年の大統領選に共和党候補が続々出馬表明。フィオリーナ氏やカーソン氏、ハッカビー氏と混戦中。
アメリカの元ヒューレット・パッカード最高経営責任者カーリー・フィオリーナ氏(60)と元神経外科医ベン・カーソン氏(63)が4日、共和党の保守派、マイク・ハッカビー元アーカンソー州知事(59)が5日、それぞれ2016年の大統領選に共和党から出馬すると相次いで表明しました。共和党の候補者指名争いに名乗りを上げたのは6人となりました。
大統領選に出馬表明したフィオリーナ氏。Facebookより
今回出馬表明した中で、今最も注目度が高いのは共和党では唯一の女性候補のフィオリーナ氏です。受付嬢からキャリアを始めたものの、一念発起してMBAを取得して、こつこつとキャリアを積み重ねてHPの最高経営責任者=CEOまで上り詰め、「最強の女性経営者」と言われた人物なのですが、とにかく彼女の「飽くなき野心と向上心」には驚かされるばかりなのです。
憲法学者で連邦判事の父と、肖像・抽象画家の母の間にテキサス州オースティンで生まれたフィオリーナ氏は高校卒業後スタンフォード大学に入学し、1976年に中世史と哲学の学士を取得。卒業後は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)法律大学院に進んだものの入学後半年でドロップアウトしています。
その後、不動産会社に受付嬢として入社し半年程受付業務をしてから当時の夫(その後、離婚)についてイタリアに渡り、家計を助けるため英語教師に転身。アメリカに帰国後には一念発起してメリーランド大学カレッジパーク校のロバート・H・スミスビジネススクールに入学し、1980年にMBA=経営学修士号を取得しました。
その後にアメリカの大手電話&インターネットサービスの会社AT&Tに管理職訓練生として入社し、以来、昇進を重ねて上級副社長にまで上り詰め、1996年にはルーセント・テクノロジーに移籍し、IPO=新規公開株の実現で成功し、1998年にはフォーチュン誌の「最も影響力のあるビジネスウーマン」の1人に選ばれています。
最強の女性経営者と言われたフィオリーナ氏だが。。Facebookより
そして1999年にはアメリカのトップ20企業では女性初となるHP(ヒューレット・パッカード)のCEOに指名され、2000年からは会長も兼務しました。ここまで聞くとまさに絵に描いたようなサクセスストーリーを生きて来たとも言えそうです。
ただフィオリーナ氏が主導したライバルのコンピューター会社のコンパック(Compaq)との合併を巡り創業者の子息ウォルター・ヒューレット取締役と対立し、合併決議を巡る激しい委任状戦争を繰り広げた結果勝利して合併を強行。しかし結局フィオリーナ氏の任期中に株価が半分の価値にまで下がったなどとして批判が強まり、結局2005年に株価の低迷などを理由に取締役会によって強制的に解任されました。これだけでも普通の人なら意気消沈しそうですが、彼女の場合はここで終わったりはしないのが面白いところです。
更に2009年には乳がんまで発覚しましたが化学療法の治療を受け、一時は髪の毛が抜けるなど苦労したものの、結局完治したと発表して翌年にはカリフォルニア州から上院議員選挙への出馬を表明。共和党の公認候補を勝ち取り、2010年に行われた本選に臨みました。
結果は民主党の現職バーバラ・ボクサー氏に破れ敢えなく落選しているのですが、(ちなみに選挙に敗れた理由の1つとして、HPでの任期中に従業員を3万人解雇したり、雇用をアメリカ国外に流出させたということに対する批判が根強かったためとも言われています。)落選後も様々な企業の社外取締役などを務めたりテレビに出演したりして、自分の宣伝には余念がなく、今回の大統領選出馬につながりました。
フィオリーナ氏のFacebookより
ただHP時代の大量解雇などで敵が多いようで、早速あちこちから攻撃も始まっています。
まず「CarlyFiorina.org」と言うHPが立ち上げられ3万の悲しい顔をしたマークを掲載しつつフィオリーナ氏がHPで従業員3万人を解雇したとして批判しています。
フィオリーナが3万人解雇したと批判するHP
また民主党の広報担当も「フィオリーナ氏がHPにいた短い間に自分は数百万ドルのボーナスを受けながら3万人を解雇した。これが彼女のやり方なら、大統領になったら国に何をするか想像できるだろう(Fiorina's short time at Hewlett-Packard is all we need to know -- laying off 30,000 employees, while being rewarded with a multimillion dollar bonus. If this is how Fiorina ran her business, just imagine what she would do to the country)」との声明を発表し、牽制しています。
注目度はかなり高いフィオリーナ氏ですが、5月5日に発表されたNBCとウォールストリートジャーナルによる共同の最新の世論調査では共和党の大統領候補の中でのフィオリーナ氏の支持はたったの1%と全く支持が広がっていないのが現状です。
世論調査(5月5日付け・NBC・WSJ)
※共和党大統領候補への支持
Bush 23%
Rubio 18%
Walker 14%
Paul 11%
Cruz 11%
Huckabee 5%
Christie 5%
Carson 7%
Perry 2%
Kasich1%
Santorum 1 %,
Graham 1%,
Jindal 1%,
Fiorina 1%
今後どんな選挙戦を繰り広げて行くのか、そしてフィオリーナ氏のあくなき野心がどこまで続くのか、注目したい候補者です。
ちなみに私生活ではスタンフォード大学時代の同級生と1977年に結婚しましたが1984年に離婚。その翌年にはAT &Tの幹部と結婚し、彼の連れ子2人を育てています。自分の血のつながった子供も持とうとしたものの叶わず、「(子供を産むことは)神が定めた事ではなかった(That wasn't God's plan)」と後に語っています。
せっかくなので共和党から大統領選への出馬を表明したカーソン氏とハッカビー氏についても簡単に触れておきます。
大統領選に出馬表明したカーソン氏
カーソン氏は今回名前が挙がっている顔触れの中で唯一の黒人で、医師時代に頭部が結合した双子を分離する初の手術を成功させたことでも知られています。2013年にオバマ大統領の政策を批判する演説を大統領の面前で行い、保守派の人気を集めるようになりました。
大統領選に2度目の挑戦のハッカビー氏
一方、1996年から2007年までアーカンソー州知事を務めたハッカビー氏は2008年の大統領選にも出馬し、幕開けのアイオワ州党員集会ではトップを獲得するなど善戦しましたが、マケイン上院議員に敗北していて今回は2度目の挑戦です。実は牧師の経験もあり、中絶や同性婚に強く反対する姿勢がキリスト教右派から支持を集めています。
共和党からは今後も大統領選への出馬表明が続くものと見られていて混戦模様となっています。益々選挙戦がこれから本格化しそうです。
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